SICF26 EXHIBITION 受賞者一覧
EXHIBITION部門 12組の受賞者を審査員のコメントとともに紹介します。
グランプリ
DAISUKE SAWAI
<作品タイトル>
Landscape of Contemporary Civilization
<作品について>
私は「人と文明との関係性」をコンセプトとした作品を発表しています。人と文明とを繋ぐ役割を担った火を「connector」という観点で捉え、絶えず拡張する文明と接続を続ける人間の現在を中立した視点から表現しようと試みています。今回のメイン作品である「Landscape of Contemporary Civilization」は、現代文明の風景を幼児用玩具の形式を用いて表現することで現代社会が抱える様々な課題(環境、エネルギー、食料、土地、等)をポップかつシニカルに表しています。私たち人間は火の獲得以降、文明を発達させ様々な便益を得られましたが、その反面、文明の発達によって生じた多くの弊害が存在しています。この作品は、既視感のある幼児用玩具とは異なるモチーフで構成しており(炎・燃えている家・沈没した石油タンカー・大量のトウモロコシ・原子力発電所など)、現代社会が抱える様々な課題と文明の発達により生かされてきた私達のこれまでとこれからについての思考を鑑賞者に促すことを目的とした作品です。
<受賞コメント>
とても光栄な賞に選出頂きまして誠にありがとうございます。
アーティストの方々やご来場者の方々と沢山お話し出来てとても刺激的な3日間を過ごさせて頂きました。
今後も展示を続けて参りますので皆様にぜひとも作品を見て頂きたいです。
この度は本当にありがとうございました。今後ともよろしくお願い致します。
<審査員コメント>
■金澤韻/キュレーター
おもちゃの積み木で町のようなカラフルで楽しげな表現に興味を引かれ近づいて見ると印象が変わります。
タンカーが折れて重油が流れ出し、鳥たちが苦しんでいます。自動車も建物もキャラクターたちも燃え上がり、不穏な雰囲気。
火は文明の象徴で、繁栄と破壊が表裏一体となった人間社会が表されています。
造形と意味がよく練られた上に凝縮されていて見応えがありました。大きな会場でのプレゼンテーションが楽しみです。
■舘鼻則孝/アーティスト
火を用いて人類が歩んできた文明とその発展に焦点を当てるという壮大なテーマでありながら、誰もが親しみを持てるような表現をしているところには、作家のオリジナリティを感じる。
ひとつひとつのモチーフにストーリーがあり、俯瞰して捉えると皮肉にも感じられる要素の構成ではあるが、鑑賞者にそのようなことを考えさせるきっかけを作っているという視点で、作品に内包された要素の必然性が紡がれている。
■山田紗子/建築家
子どものおもちゃに炎という危険かつ原初的モチーフをかぶせて、ユートピアとディストピアが同時に存在しているような鮮やかな表現が目を引いた。気候変動やエネルギー、生活、産業、都市、汚染。数多くの議論や関係性を、積み木の抽象性が取捨選択し、組み換え可能なフォーマットで軽やかに表現されている。これはどういうことなのか、とまじまじと見ては思わず議論してしまいたくなるような引力を持っていた。
規模の大きな展示において、作者がコネクターと呼んでいる炎の存在が一層深みを持って体験されることを楽しみにしている。
【略歴】
2006年 駒澤大学法学部政治学科卒業
スケートボードから多大な影響を受けて制作を始めたサワイは、スケートボードカルチャーに散見する火を用いたグラフィックデザインが当たり前に存在している生活が起点となり、この実体験が火の考察と共に人と文明との関係性を考える契機となりました。人と文明とを繋ぐ役割を担った火を「connector」という観点で捉え、人と文明との関係性をコンセプトとした作品を発表しています。
【主な受賞歴】
2025年 「SICF26」EXHIBITION部門 グランプリ
【主な活動】
2025年 「SICF26」EXHIBITION部門(スパイラルホール/東京)
2024年 RVCA SUPER FRIENDS(RVCA渋谷ギャラリー/東京)
2024年 A2A CROSSING(渋谷西武/東京)
2024年 A2A JAPAN Competition(渋谷ヒカリエ/東京)
2024年 個展 [DISCOVER](SPOTMAN/東京)
2024年 個展 [KINDLING](MAT/東京)