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グランプリアーティスト展

SICF21 グランプリアーティスト展

中山佳保子「SPOT – 視点、回転、発展」

 

会期:2021.6.14(mon) -6.20(sun) 11:00-19:00 会期中無休
会場 : ショウケース(スパイラル1F)
入場無料


主催 : 株式会社ワコールアートセンター
企画制作 : スパイラル
協力:株式会社中川ケミカル

 

 

Photo : TADA(YUKAI)

 

スパイラルは、昨年 9 月に開催した SICF21(第 21 回スパイラル・インディペンデント・クリエイター ズ・フェスティバル)に於いて出展クリエイター85 組の中からグランプリに選ばれたアーティスト、 中山佳保子による個展「SPOT – 視点、回転、発展」を 2021 年 6 月 14 日(月)- 20 日(日)に ショウケース(スパイラル 1F)にて開催しました。 グランプリ受賞作《PLASTIC DAN-POLE》は、プラ スチック段ボールを円形状にカットしたものを幾層にも重ね、黒い円柱を構成、一定の速度で回転させた作品です。プラスチック段ボールを重ねる際に、空洞の向きを規則的にずらして積層することで、回転した時に反対側が透けて白い光の帯が上下する様子は、神秘的で観る者を魅了します。身近な素材に潜む構 造の特徴を上手く引き出して、アートの領域まで引き揚げた点が評価され、グランプリ受賞に至りました。本展では、SICF21 のグランプリ受賞時の円柱 3 本の構成を 10 本に拡大したフルバージョンを展開。私たちが普段見落としている光の存在を感じられる展示となりました。

■展覧会の様子

Photo : TADA(YUKAI)

Photo : TADA(YUKAI)

Photo : TADA(YUKAI)

Photo : TADA(YUKAI)

 

◾️ 本展の見どころ

本展タイトル「SPOT」が意味する通り、中山佳保子は身近な素材や景色に潜む、ほんの一点、一箇所、一片の 妙を見抜き、形から「視点」をつくり出します。禁欲的とも言えるほどに装飾性や演出を排し、素材の個性や物 質の特徴だけで構成された形。私たちが暮らす世界には、出会わなかった光、見落としている線の存在が無数にあ るのだと気づかされます。会場の外の青山通りから、すぐ近くから、色々な角度から、自分だけ の SPOT をお愉しみいただきました。

 

◾️ SICF21 審査員コメント

難波祐子/キュレーター

 

黒い円柱が回転して、光の帯が上下に動いてパターンを作る。近づいてみると、使われているのは、プ ラスチック段ボール。空洞が規則的に並んでいる、という素材の性質を活かして、円形状にカットされ たプラスチック段ボールをある規則性をもって向きをずらしながら幾層にも積み重ねて、光が透ける塊 を見事に作り出している。それが回転した時、まるで生き物のように光の帯が波打って見える。身近な 素材に潜む構造の特徴をうまく導き出して、アートの領域にまで引き揚げた点は、高く評価したい。今 回の受賞をきっかけに、更に新しい素材や手法にどんどん挑戦して、よりスケールの大きな驚きを生み 出す作品を制作して頂きたい。中山さんの鋭い観察眼と丁寧な分析と実験に基づく制作態度は、それを きっと可能にしてくれると信じている。

 

林千晶/株式会社ロフトワーク代表取締役

 

プラスチック式ダンボールを重ねただけの作品。でもその積み重ねの背後には緻密な計算があり、まるで生きているかのように、光の模様が神秘的に浮き上がり、また沈みこみ、見る人を魅了します。デザ イン的ともいえるこの作品がグランプリをとったのは、彼女の「美」に対するこだわりを感じとったか らと言えるでしょう。だからこそ、次に見せてくれるのは、デザインもアートも超えた、ただひたすら美しく、激しく心が揺さぶられる、そういう領域なのではと期待しています。

 

 

中山佳保子 Kahoko NAKAYAMA

 

1997 年山口県生まれ。2020 年筑波大学芸術専門学群卒業。 現在、筑波大学人間総合科学学術院芸術学学位プログラム構成領域在籍。 身近な素材に潜む、形や色、材料、テクスチャ(質感)など造形を構成する要素に着目し、その特性を強調することで新たな造形や現象を生み出す 作品を制作する。主な活動に、筑波大学芸術専門学群卒業制作展(後期) 出展(2020 年、つくば美術館)、なないろスポーツフェスタ 2019 駅伝ト ロフィー制作・T シャツデザイン提供(2019 年)など。

■ 参考作品 : 中山佳保子 過去作品

《PLASTIC DAN-POLE》(2019)「SICF21 グランプリ受賞作品」プラスチックダンボール、回転台、木材 Photo:TADA(YUKAI)

《NANAIRO SPORTS FEST 2019 WINNING TROPHY》(2019) アクリル板、アルミ

《POLY BAG FAUNA》 (2021) 石膏

《POLY BAG FAUNA》 (2021) 石膏