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受賞者一覧

SICF18 受賞者一覧


 

SICF18 グランプリ

 

 

東城信之介

 

<作品について>
金属を酸化させたり表面に細かい傷をつけることで、無意識に見えてしまう虚像や心象風景を作品にしている。そこに生まれる像は見る人の視覚や視力によっても変化し、一つとして同じ見え方をする事はない。作品を見た人の中で現代における印象主義と言う人もいるのは、自分が学生時代にゴッホを見て酷い頭痛と共に倒れこんでしまったこと事があり、そこからの繋がりが影響をしているのかとも思う。
幼い頃から色々な何かが生きているようにみえて怖かった。それが本当に現実の物なのかただの思い込みなのか、今になっては確認も取れないしどちらでもいい。でも、そんな自分の世界を物質化することが生を感じる唯一の方法であり、不安を取り除いてくれた。2次元から現れる3次元は光や空間から様々な影響を受け、レンチキュラーやホログラムとはまた違った見え方となり、自分にしか見えない世界を成立させる。

 

<受賞コメント>
作品の新たな展開を見せる事が出来て良かったです。これからもかたまらずに作り続けていければと思います。見に来てくださった方々、携わっていただいた全ての人に感謝。

 

<審査員コメント>
■藪前知子 (東京都現代美術館 学芸員)
シンプルな技法ながら、素材の表面の奥にも手前にも自在にイリュージョンを発生させる高い技術は絵画と彫刻の境界をめぐる美術史上の議論を想起させつつも、今なお新しい道があったという驚きがあった。素材を自在にコントロールしながらも、その特性に従って作り出された作品は誰かの手で作られたものというよりは、目の前で生成しているような不思議な現れ方をするのも印象的。
■張熹 (藝倉美術館 チーフディレクター)
金属を切削することでガラスのように透明な表現を生み出している点において、マテリアル(材料)に対する理解が新しいと言える。また、完成度が高い。

 

【略歴】
1978 信州生まれ
2004 東京造形大学美術学科比較造形卒業

【主な受賞歴】
2017 SICF18 グランプリ受賞
2013 TAGBOAT FES 審査員特別賞受賞
2012 Young Artist Japan グランプリ受賞

【主な活動】
2017 中之条ビエンナーレ (中之条/群馬)
2017 SICF18   (spiral/東京)
2016 UNTITLD    (Miami/USA)
2016 Sharing the Future (Chiangmai University Art Centre/Thailand)
2016 ArtFair London 2016 (London/UK)
2016 Art Stage Singapore (Singapore)
2016 Rec+ 交じり融けし箍 (COHJU contemporary art /京都)
2013 マツシロオルタナティブ (池田満寿夫美術館/長野)
2008 THE EAST and THE EAST (上野の森美術館/東京)
2008 釜山国際環境芸術祭 (釜山/Korea)

 


SICF18 準グランプリ

 

 

クラトミタカユキ

 

<作品について>
鉄を打ち、溶接することで動物を造形しています。無機質で鈍い光沢を放っていた鉄の板は徐々に命を宿す。彼らは人の心を緩めてくれる。どこか儚くも寂しそうに、だけどもそこにある日常にふと一息つく姿は、見る人を少しでも優しい気持ちに出来たら。そんな思いを込め鉄の住人達と対話しています。
鉄が時間や空気を受け止める様はまるで皮膚のようであり、その変化を火と鎚でとらえていきたい。

 

<受賞コメント>
3度目の挑戦で受賞出来たことは、『この道でいいんだ』と背中を押していただけたようで本当にうれしく思います。
かつて恩師からいただいた『集中』『沈黙』『継続』を胸にこれからも制作に励んでいきます。

 

<審査員コメント>
■藪前知子 (東京都現代美術館 学芸員)
「動物」というとありふれたモチーフかもしれないが、その所作を生き生きと捉えた髙い技術力は素晴らしい。

■大田佳栄 (スパイラル チーフキュレーター)
下絵やモデルを使うのではなく、また、鋳物としての生成ではなく、一枚の金属板をまっさらな状態から叩いてこの精度を出せるのは驚異的。紋切り型な大型彫刻を超え、今年は小型の作品に挑戦し、軽やかさが加わったことが好ましい。

 

【略歴】
1984年 福岡生まれ
2006年 多摩美術大学美術学部工芸学科 卒業
2008年 東京藝術大学美術研究科鍛金専攻修了

【主な受賞歴】
2007年 第63回福岡県美術展 工芸部門 県知事賞
2013年 第69回福岡県美術展 彫刻部門 美術協会賞
2014年 第35回筑後市美術展 大賞
2016年 ONCRI 第5回床の間アートコンペ  優秀賞
2016年 第13回大分アジア彫刻展   入選

【主な活動】
2006年 多摩美術大学工芸科卒業制作展 (スパイラル/東京)
2008年 東京藝術大学卒業修了制作展   (東京藝術大学美術館/東京)
2009年 個展(フタバ画廊/東京)
2014年 SICF15
2015年 SICF16

 


 SICF18 準グランプリ・オーディエンス賞

 

 

なかやまありさ

 

<作品について>
「作品は綿毛をモジュールとし新しい形を再構築する事で「綿毛の魅力」を探求していくことを目的とする。」
今作品を作り始めたきっかけは電気を使わずに強い動きを作りたいという思いからでした。元々センサーやサーボモーターなどを使ったものを作っていましたが、電気が無くなると動かなくなってしまうのがとても嫌で「永続的に動き続けてシンプルで強いものはないのか…。」とずっと考えていました。
私は普段煮詰まるととりあえず散歩に出かけます。そんなふうに「強いナニカ」を探してて川の辺をしかめっ面で歩いていると季節は春でした。
そこにあったのはたんぽぽの綿毛でした。
もう運命でした。
綿毛の持つ「動き」「シンプルな形」「色」は私が探し求めていたものそのものでした。綿毛をくっつけている時、私は世の中から切り離され誰もいない森の中にいるような自意識や社会離れたような安心感を感じます。
この作品を見る方にも同じように感じて頂けたら幸いです。

 

<受賞コメント>
今回SICF18に応募したのは、純粋に「自分の好き」を発信して同じような価値観の人に出会いたいという理由でした。その結果として予想以上に多くの方に作品に興味をもって頂けてこのように2つの賞を頂くことが出来ました。自分が出した答えが認められたのだと思うと本当に嬉しいです。有難うございます。

 

<審査員コメント>
■石田尚志(画家・映像作家、多摩美術大学准教授)
小さなブースの中で見事な緊張感を作っている作品だった。わずかな気流によって揺れるたんぽぽの小さな影の美しさに見とれた。台座のねり消しのやわらかさや、1滴の水がレンズのように光っているのも魅力的だ。繊細だが、不思議な広がりと力強さを感じる仕事だ。

■栗栖良依(SLOW LABEL ディレクター)
展示がとてもきれいにセンスよくまとまっていると思いました。綿毛を使った作品は今回が初めてということでしたが、今後の展開を楽しみにしています。

 

【略歴】
2017 多摩美術大学情報デザイン学科メディア芸術コース 在学中

【主な受賞歴】
2017 SICF18 準グランプリ ・オーディエンス賞

【主な活動】
2016 学外展「Sel_4」(AXIS/東京)
2017 SICF18 (スパイラル/東京)

 


SICF18 石田尚志賞

 

 

長雪恵

 

<作品について>
現実と虚構は紙一重だと思う。
地獄の様な苦しい世界にも少なくとも笑える事や楽しい事はあるし、今私達が生活している毎日の暮らしの中には残酷で心が壊れてしまう様な出来事が起こる。現実を全て受け止めるのはあまりにも苦しすぎる。
この世に確かなものなどないし、私達が今まで見て・聞いて・感じてきた事は真実と言われている事のほんの一部でしかない。
夢の世界を現実に連れて来る事は出来ると思うし、夢と現実の世界を自由に旅しながら生きていってもいいと私は思う。
考え方一つで世界はいくらでも変わっていく。
「生きていく事」とは…「優しさ」の裏にある「残酷さ」・「楽しさ」の裏にある「つらさ」・「あたたかさ」の裏の「冷酷さ」・「かわいさ」の裏にある「醜さ」。裏に隠された「憂い」も含めて『生活=生きていくこと』なんだなぁと。
そんな事を思って、いつも作品を制作しています。

今回の作品は表参道という東京の中心に居ながら、観た人が一瞬でも動物達と非日常の空間に行く事が出来たらいいなと思っていました。動物達のかわいさや癒しだけでなく、その裏にあるつらさや、厳しさなども感じてもらえたら幸いです。

 

<受賞コメント>
この度は石田尚志賞を頂き、誠にありがとうございました。素直にすごく嬉しいです。誰かの心に何かが届いたのならば、こんな幸せな事はないなと思っています。これからも愛すべき動物たちと一緒に、楽しい事も大変な事も乗り越えて誰かの心に届く作品を制作し続けていけたらと思っています。作品を観てくれたみなさま、本当にありがとうございました。

 

<審査員コメント>
■石田尚志(画家・映像作家、多摩美術大学准教授)
無数の生きもの達が折り重なって出来る曼荼羅のような作品。木の質感、そして鋭く温かい一つひとつの彫りからは、作品を作る手の大きな喜びを感じた。展示の方法なども含め、もっともっと展開ができそうに感じたが、その可能性も含め今後の仕事がとても楽しみだ。

 

【略歴】
明治大学政治経済学部経済学科卒業
多摩美術大学造形表現学部造形学科油画専攻卒業

【主な受賞歴】
2005年 第20回国民文化祭・ふくい2005 文部科学大臣奨励賞
2005年 世界堂「もうひとつのせかい YES展」 遠藤彰子賞
2006年 第10回「新生展」 新生賞
2009年 第12回岡本太郎現代芸術賞展 岡本敏子賞
2009年 前橋アートコンペライブ2009  ミヤケマイ賞
2017年 2017松濤美術館公募展 優秀賞

【主な活動】
2004年 タマアートコンペティション 入選
2005年 第23回伊豆美術祭(IZUBI展) 入選
2005年 第18回美浜美術展 入選
2005年 第6回熊谷守一大賞展 入選
2006年 第1回全国公募絵画展2006・ビエンナーレうしく 入選
2006年 第16回ART BOX大賞展 入選
2006年 第2回世界堂大賞展 入選
2007年 個展「長 雪恵展―とある場所の日常―」(アートスペース羅針盤/東京)
2008年 第2回全国公募絵画展2008・ビエンナーレうしく 入選
2008年 個展「長 雪恵展―こどものころ―」(新生堂/東京)
2009年 個展「長 雪恵 個展―変わらぬ日々―」(クラインブルー/東京)
2010年 岡本太郎の「いきもの」展に作品展示(岡本太郎記念館/東京)
2010年 多摩美術大学校友会小品展 チャレンジ賞
2011年 個展「長 雪恵展―どうぶつのまち―」(ギャラリー代々木/東京)
2014年 LIEF 2014 日本動物愛護協会賞
2014年 ゲンビどこでも企画公募2014(広島市現代美術館) 入選
2015年 コニカミノルタソーシャルデザインアワード2015  入選
2015年 2015NIIGATAオフィスアートストリート  入選
2016年 個展「おさゆきえとその仲間のどうぶつたち」(二子玉川蔦屋家電/東京)
2016年 シェル美術賞2016 入選
2017年 公募2016 アートハウスおやべ現代造形展 入選

 


SICF18 栗栖良依賞

 

黒田恵枝

 

<作品について>
使われなくなった衣類を素材とした作品を制作しています。衣類とは、まるで皮膚のように人の一部であるものと捉えています。身につける人と日常を共にし、 身につける人と共にあらゆる出来事や思い出を経験し蓄積しているからです。私は、服という役目を終えたものが素材に還り、ある種のお呪いのようなひと針ひ と針によって、再び生まれ変わる過程に関心を持って制作しています。本来、縫い目には呪力が宿るとされたように、縫うという行為によって日々を生きる中での感覚をかたちにすること。それは私たち自身の存在を探ることであると考えます。
出展作品の「もけもの」は、私達が日々を生きる中で、時として感じる漠とした不安感などのような、つかみどころのなく漂うあいまいな感覚をかたちにすることをコンセプトに制作している立体のシリーズです。感情が揺さぶられるときに生まれるものをイメージし、可愛いような不気味な存在感で表現しています。もけものは、私達といつも一緒に存在しています。日常の中にふと出現する不思議な生き物は、いつも私達を静かに見守っています。

 

<受賞コメント>
可愛い、怖い、切ない…など様々な感情をもって作品と対峙してくれる沢山の方々に出会うことができ、とても励みになりました。ありがとうございました。これからもずっと続けていきます。

 

<審査員コメント>
■栗栖良依(SLOW LABEL ディレクター)
一瞬で心を奪われました。パフォーマンスやプロダクト、いろいろなものに展開できそう。まずは私の”杖”とコラボして欲しいと思いました。

 

【略歴】
2010 多摩美術大学美術学部情報デザイン学科情報芸術コース卒業。現在、東京を拠点に活動。

【主な受賞歴】
2017 HAPTIC DESIGN AWARD 佳作
2017 SICF18 栗栖良依賞

【主な活動】
2016 個展「COVER」(gallery元町/神奈川)
2016 SICF17 (スパイラル/東京)
2016 THE blank GALLERY Summer Group Show2016 (THE blank GALLERY /東京)
2016 個展「もけもけもの」(ギャラリー403/東京)
2016 MONSTER Exhibition 2016 (渋谷ヒカリエ/東京)
2016 シブヤスタイルvol.10 (西武渋谷店/東京)
2016 バンド モノクロパンダ全国流通アルバム『ノスタルジー』挿入歌『ツキノクニ』     ミュージックビデオへの作品提供
2017 HAPTIC DESIGN AWARD受賞作品展 (Fab Cafe Tokyo/東京)
2017 SICF18 (スパイラル/東京)

 


 SICF18 張熹賞

角谷沙奈美

 

<作品について>
私は日常の中からテーマを拾い、制作しています。それは「世界とは何か」と問い続けることでもあります。
個々の小さな世界の連続が、外の大きな世界を作っているのならば、集団の中で埋もれてしまう個人的で些細な出来事や経験の中に、答えとなる世界の根源のようなモノを見つけられるのではないかと思うのです。
今回の出展に際し、テーマを「あたらしい星」としました。
日々量産されるニュースの中に地球に似た惑星の発見を告げるものがありました。そのニュースは小さなものでしたが、そのあたらしい星の存在は世界を見つめる時、私の中の物差しのひとつとなっていきました。数光年離れた星に想いを馳せることは、同時に圧倒的な距離感を持って地球を見つめることに繋がります。そしてその眼差しは見慣れた景色や存在も、初めて見るような新鮮なものに変えてくれます。

 

<受賞コメント>
この度はこのような光栄な賞をいただきありがとうございます。
SICFへの応募はアート表現が多種多様化する中で、絵画という表現の可能性について考えるという目的がありました。沢山のブースがある中で、絵の前に立ち止まり心に留めてくださる方が沢山いらした事に感謝し、これからも精進して参りたいと思います。ありがとうございました。

 

<審査員コメント>
■張熹 (藝倉美術館 チーフディレクター)
作家は独自の眼差しと技法を通して、日常に見慣れた風景を選別・編集している。そこから生み出された距離感は見る側に日常を見つめ直すきっかけを与えていると感じた。

 

【略歴】
2007年3月  女子美術大学大学院美術研究科修士課程美術専攻洋画研究領域 修了

【主な受賞歴】
2014年 女子美術大学100周年記念大村文子基金第14回「女子美制作・研究奨励賞」
2017年  SICF18 張熹賞

【主な活動】
2011年 個展「角谷沙奈美展」(銀座ギャラリー女子美 / 東京)
2012年 個展「どこへでもゆける」(潺画廊 / 東京)
2012年 個展「ふりむけば、」(Gallery Forgotten Dreams / 東京)
2013年 個展「花とゆめ」(Gallery Forgotten Dreams / 東京)
2013年 個展「私の日常、誰かの日々」(潺画廊 / 東京)
2013年 「忘れられた夢」(Gallery Forgotten Dreams / 東京)
2014年 第8回ヤドカリトーキョー展覧会「交流点+」(日本橋小楼ビル2 階202 / 東京)
2015年 BankART Artist in Residence  (BankART1929 / 神奈川)
2015年 「若手卒業生による絵画展」(Joshibi Art Gallery. Shanghai
 上海交通大学 / 中国)
2016年 個展「ドラマチックな日々」(Gallery Forgotten Dreams / 東京)
2016年 「−百花撩乱− 百人のバラ展」(銀座三越7階ギャラリー / 東京)
2017年 SICF18  (Spiral / 東京)

 


SICF18 中村茜賞 

 

金親敦

 

<作品について>
今回の展示ではパプアニューギニアやアフリカ等の民族仮面を参考に制作しました。それらの仮面は自然崇拝、アニミズムからくる造形が多いです。
アニミズムとは、生物・無機物を問わないすべてのものの中に霊魂、もしくは霊が宿っているという考え方です。そういった目に見えない対象を可視化、顕現させたもの、それが仮面です。
私は繊維素材を編んで作品制作をしています。頭の中にある実体をもたない形は糸を編むことで徐々に姿を現し、可視化されます。編むことによる可視化のイメージと霊や霊魂が顕現されるイメージに共通性を感じた為、民族仮面を編みました。

 

<受賞コメント>
作品をたくさんの人に知ってもらう新たな機会を頂けて嬉しく思います。今後も更に魅力的な作品を作れるように頑張ります。

 

<審査員コメント>
■中村茜 (株式会社プリコグ代表、パフォーミングアーツプロデューサー)
編まれた生き物たちのカラフルな色彩、動物などの造形のユニークさに惹かれた。この生き物たちは作家の入り乱れた意識の中から引き出した言葉から生まれているというコンセプトを聞き、そのギャップにさらに関心が湧いた。SICFは極めて多彩な表現の場であることから、審査では他ジャンルとのコラボレーションの可能性を探ること、またそのポテンシャルの高さについても考慮した。ここに編まれた生き物たちの空間美術や衣装としての展開に、また、金親さんの発想の原点となる言葉がパフォーマンスなどとのコラボレーションにどのように作用するかということの伸びしろに期待している。

 

【略歴】
1989 千葉県市原市出身
2015 横浜美術大学 美術学部 美術学科 工芸領域 クラフトデザインコース 卒業
2017 横浜美術大学 美術学部 美術学科 工芸領域 クラフトデザインコース 非常勤助手

【主な受賞歴】
2017 SICF18中村茜賞
2015 横浜美術大学卒業制作展優秀賞

【主な活動】
個展:
2017
『TRIBE』ギャラリーU/東京
2015
『アミシルス』マキイマサルファインアーツ/東京

グループ展示:
2017
『SICF18』 SPIRAL / 東京
2016
『RANDY ART HILLS vol.36 BIRD』 RANDY/東京
『Colorfulカ・ラ・フ・ル』西武百貨店船橋店/千葉
『SUMMER SONICART 2016』幕張メッセ・QVCマリンフィールド/千葉
『Hotel Arts Festival in PARK HOTEL TOKYO』パークホテル東京/東京
『池袋アートギャザリングkokeshi art collection』WACCA池袋/東京
『青春展』パークホテル東京/東京

2015
『シブヤスタイルvol.9』西武百貨店渋谷店/東京
『池袋アートギャザリングC-DEPOT landmark』東武百貨店池袋店美術画廊/東京
『横浜美術大学卒業制作有志展「-CHITEN」』THE BASEMENT/ 東京
『横浜美術大学卒業制作選抜展』横浜赤レンガ倉庫1号館2F/ 神奈川
『横浜美術大学卒業制作展』横浜美術大学ギャラリー YCAD/ 神奈川

2014
『工芸領域展』横浜美術大学ギャラリー YCAD/ 神奈川
『うたうかたち。』高架下スタジオ Site-A ギャラリー / 神奈川

2013
『第1回アサクサコレクション』隅田公園リバーサイドギャラリー / 東京
『TOKYO DESIGNERS WEEK 2013』明治神宮外苑 / 東京
『工芸領域展』横浜美術大学ギャラリー YCAD/ 神奈川
『第 5 回 WE フェスタ「もったいないを活かそう !」』かながわ県民センター / 神奈川

2012
『HOT WINTER』メディカルホームくらら青葉台 / 神奈川
『壁展』横浜美術大学ギャラリー YCAD/ 神奈川

 


SICF18 森永邦彦賞

 

河本蓮大朗

 

<作品について>
私の作品は、すでに捨てられた古着を解体し、それを織り機を使って新たな布にすることで生まれる。
それは過剰な消費社会への反発であり、浪費する流行へのアンチテーゼといった部分があると言えるかもしれない。
流行に取り残された服、人々に着られ、捨てられた服たちは、どことなく悲しげで虚しい。
それらを素材に布を織ることは、私にとって人間が行う生産と消費の関係を考えることと等しい。
人間が作り、人間が捨てる。その繰り返しは今後も継続され続けるだろう。私は作品を作って、それがゴミで終わりでなく、新しく新鮮なものに生まれ変わって欲しい。
そして同時に、古着を解体して布を作るプロセスで生まれた布そのものに強い関心を持っている。
素材を構築的に組み合わせることで生まれる布の構造。そこに生まれる表皮としての凹凸や物質感、テクスチャ。グリッドやリピートといった織物を作り出す上で欠かせない概念。これらの関心は私を強く惹きつけ、それが単なる布ではなく、この世界の様々な物や事と関連した物体としてそこに存在しているような気がしている。

 

<受賞コメント>
SICFへの参加は今回が初めてでしたが、作品を沢山の方々が見てくれたことが嬉しかったです。
そして審査員賞もいただくことができ、発表の場としてとても充実したものになりました。
関係者の方々、展示を見に来てくださった方々、展示を手伝ってくれた方々、本当にありがとうございました。
これからも、SICFで得た経験を生かして、制作活動を続けていけたらと思います。

 

<審査員コメント>
■森永邦彦(ANREALAGE デザイナー)
静かな作品であると同時に、とても雄弁な作品。
異様な作品であると同時に、とても温かな作品。

服と向き合い、服と多くの対話を重ねた証が、
作品に詰まっていました。

服を壊すのではなく、その服を救うように。

流行を否定し、服を肯定するような作者の姿勢が、
胸に残りました。

 

【略歴】
1991 神奈川県生まれ
2015 横浜美術大学工芸領域テキスタイルデザインコース 卒業
2016-2017 横浜美術大学彫刻コース研究生

【主な受賞歴】
2015 横浜美術大学卒業制作 優秀賞
2015 現代美術振興財団CAF賞 入選
2017 2017金沢世界工芸コンペティション 入選
2017 SICF18 森永邦彦賞

【主な活動】
2016 NEW JAPAN PHOTO ISSUE.3 SPECIAL EXBITION / CHI-KA ドバイ
2016 藤沢アートフェス / 旧モーガン邸 神奈川
2016 ソニックアート@サマーソニック / 幕張メッセ 千葉
2016 YOUNG TEXTILE ART TRIENNIAL 2016 / Strzeminski Academy of Fine Arts Lodz ポーランド
2016 個展 河本蓮大朗展「うつわとつぼ」 / 黄金スタジオC [HAMABI AIR] 神奈川
2017 New Year Selection 2017 / GALLERY ART POINT 東京
2017 第3回金沢・世界工芸トリエンナーレ 2017金沢・世界工芸コンペティション / 金沢21世紀美術館 金沢
2017 個展 河本蓮大朗展 / 黄金スタジオC [HAMABI AIR]] HAMABI AIR 神奈川
2017 SICF18(第18回 Spiral Independent Creators Festival)/ スパイラル 東京

 


SICF18 藪前知子賞

 

名倉達了

 

<作品について>
「思考と眼差しの余白」をテーマに、ブースと1枚の花崗岩を関係付けたインスタレーションを試みました。
私はこの島国の歴史と風土によって形成され日本文化に根付く余白という概念が、高度情報化社会においてこそ知覚と思考を問う対象としての可能性があると仮定しています。震災と原発事故を経験した今、大地を形成する石を極限まで薄く加工し、一つの尺度として提示することで現れる様々な関係性と余白は、現代において社会を形成する見えないなにかと対峙するための視座を獲得することができるだろうか。

 

<受賞コメント>
展示作品だけではなく過去の作品についても貴重なご意見を頂いた各審査員とスタッフの皆様、来場者の方々に感謝し、今後も質の高い仕事を提示できるよう制作を続けたいと思います。本当にありがとうございました。

 

<審査員コメント>
■藪前知子 (東京都現代美術館 学芸員)
存在しているのに見えない。静止しているのに壊れる可能性を秘めた物質。名倉達了さんの作品は、震災以降に私達が共有している言葉にならない物質や空間に対する感覚をあざやかに取り出している点で高く評価しました。SICFのブースをこれ以上ないほどシンプルな手つきで全く別の意味を持った空間に作り変えた力量は見事でした。

 

【略歴】
1984年 愛知県生まれ
2011年 東京藝術大学大学院美術研究科彫刻専攻修了

【主な受賞歴】
2012年 伊東順二賞(前橋アートコンペライブ2012)
2016年 日本工芸会賞(第47回東海伝統工芸展)
2016年 日本工芸会奨励賞(第63回日本伝統工芸展)
2017年 薮前知子賞(SICF18)

【主な活動】
2010年 彫刻の風景−モノノアハレ−(旧吉田屋酒店/東京)
2011年 Sculpturetimes#1 FROMNUDE(上野の森美術館ギャラリー/東京)
2012年 個展 −level−(Gallery NATSUKA&C−View/東京)
2012年 個展 ○/―(Gallery 零∞/東京)
2013年 物質と彫刻 ―近代のアポリアと形見なるもの−(東京芸術大学美術館陳列館/東京)
2013年 +PULS:004 November side(スパイラル/東京)
2014年 現代の雄勝硯-新作展示会 Exhibition of Contemporary OGATSU Ink stone
( みどり荘/東京、遊狐草舎/京都、パリ、ロンドン、ストックホルム、ポートランド)
2015年 Solid Forms(Gallery Jin/東京)
2015年 石彫の現況2015(宗教法人長泉院附属・現代彫刻美術館/東京)
2015年 見ることのかたわら(旧・門谷小学校/愛知)
2016年 第47回東海伝統工芸展(丸栄/愛知、他)
2016年 第63回日本伝統工芸展(日本橋三越/東京、他)
2016年 そこにあるもの(こと)/ そこにないもの(こと)(旧・門谷小学校/愛知)
2016年 個展 -Sight-見えない世界を生きてゆくために(Gallery COEXIST-TOKYO/東京)
2017年 SICF18(スパイラル/東京)

 


SICF18 スパイラル奨励賞

 

福重美幸子

 

<作品について>
据え置きの電話型の録音機に30秒間メッセージを吹き込むことができる参加型インスタレーション作品です。
受話器を上げると直前に吹き込まれた声が流れます。ダイアルを回している間だけ録音をすることができます。
吹き込みたいメッセージの長さに合わせてダイアルを回してください。(最長30秒)
録音をすると前のメッセージは消えてしまいます。
残るのは直前に録音したメッセージのみです。

 

<受賞コメント>
例年、賞よりも大勢の人に作品を見て頂く貴重な場としてSICFに参加していたので、想定外の受賞に驚いていますが、思い入れのある場所で戴けた賞はとても嬉しいです。私の作品はその時々の興味の対象によって変化しますが、そのベースにはユング心理学があります。内的世界と現実世界の境界を作品を介し、痕跡として残すことで現実の立ち位置を確認しているのです。私にとって美術とは「私」から出発して普遍性に至るための挑戦と言えるのかも知れません。

 

<審査員コメント>
■ 大田佳栄 (スパイラル チーフキュレーター)
教員という若者を見続ける立場にあり、世代の分断や未来に対しての危惧も願望も客観的によく見られていると思う。これまでの作品にもバリエーションがあって、展開の可能性を感じます。

 

【略歴】
1984年 東京生まれ
2003年 都立工芸高校デザイン科卒業
2007年 杉野服飾大学 アートファブリックデザインコース卒業
2011年 University for the Creative Arts Fine Art 修士課程卒業

【主な受賞歴】
2006年 GEISAI#10 スカウト審査員 East Touch 賞

【主な活動】
個展
2005 「Bunny Boy」 Cafe Blanc/東京
2013 「Re: Bunny Boy」Cafe Karma/東京
2014 「Bathtism」aire ameno/東京
2016 「夏の終わりの崩壊星」 ば~あでぃくしょん/東京

グループ展
2013 「3331アンデパンダン」3331 Arts Chiyoda/東京
「ふじのサニーサイドウォーク2013」ヴィレッジ2/神奈川
2014 「interactive-YOUTH-」ギャラリー檜/東京
「SICF15」スパイラル/東京
「GALLERY HINOKI ART FAIR 14」ギャラリー檜/東京
「TAMAVIVANT Ⅱ -美術・日常のレゾナンス-」多摩美術大学/パルテノン多摩/東京
2015 「ワンダーシード2015」トーキョーワンダーサイト渋谷/東京
「SICF16」スパイラル/東京
2016 「SICF17」スパイラル/東京

 


SICF18 PLAY 最優秀賞

 

関川航平

 

<作品について>
いくつかの過去に見た風景についてと、実際にパフォーマンスをしている場所から見える風景についてを、ごちゃまぜにして、即興で喋りつづける、というような作品でした。「喋る」といってもストーリーをつらつら喋るというより、「喋る」と「見る」と「思い出す」をひとくくりでやる、みたいな感覚でした。

「見る」→a→「言葉にする」→b→「喋る」

おそらく、何かを見てから言葉にして喋るまでには少なくともa・bの2回「整える作業」が挟まっていると思うんですが、この「整え」をどうにか解除できないかなと考えていました。「見る」ということがどんなことなのか、風景描写をするということがどんなことなのかを考えながらのパフォーマンスになりました。

 

<受賞コメント>
今までのパフォーマンス作品は、「いかに作品か」を言葉で固めてからスタートするものが多かったのですが、今回はそもそもの作り方を変えて、言葉で固めることを意識的にしないようにしたので、舞台袖まで考えていることはドロドロのままでした。この作り方はかなりハードですが、手応えもあったのでこれからの作品制作にとって貴重な経験になったと思います。

 

<審査員コメント>
■中村茜 (株式会社プリコグ代表、パフォーミングアーツプロデューサー)
目に見えた風景を言葉にするのは簡単だが、同時に風景はその言葉の限りではない。知覚した風景は常に立体的で時間や変化を伴う。その風景の有り様とそれを言葉にして整形した時に生じるズレを意図的にパフォーマンスに昇華していた。そのことによって、言葉によって想起されることの一義性を疑い、そのイメージの多面性・重厚感を捉えようとしていた。目に見える社会の裏側の手触りを慎重に探らなければならないというメッセージを受け取った。

■ 大田佳栄 (スパイラル チーフキュレーター)
今回初のSICF18 PLAYにとって、領域を横断し強度のある作品として突出した存在にあった。言葉から想像されるイメージがつかめなく、鑑賞者は混乱させられ、独特な世界の深奥に引き寄せられた。20分という長い時間でありながら、飽きさせることなく完成度の高い作品だったと思う。

 

【略歴】
1990 宮城県生まれ
2013 筑波大学芸術専門学群特別カリキュラム版画コース卒業

【主な受賞歴】
2013「筑波大学芸術専門学群卒業制作展」芸術賞受賞
2014「横浜ダンスコレクションEX2014」新人振付家部門 ファイナリスト
2014「ART×公開空地 都市に介入するアートコンペティション」グランプリ受賞
2014「ゲンビどこでも企画公募2014」八谷和彦賞・観客賞受賞
2016「第14回グラフィック 1_WALL」グランプリ受賞
2016「SICF18 PLAY」最優秀賞受賞

【主な活動】
2014「横浜ダンスコレクションEX2014 新人振付家部門」(横浜赤レンガ倉庫1号館/神奈川)
2014「ART×公開空地 都市に介入するアートコンペティション」(御茶ノ水駅前/東京)
2014「ゲンビどこでも企画公募2014」(広島市現代美術館/広島)
2015「混浴温泉世界2015 わくわく混浴デパートメント」(トキワデパート/大分)
2015「TRANS ART TOKYO 2015」(神田/東京)
2016「INCIDENTS 2016」(八戸酒造/青森)
2016「第14回グラフィック 1_WALL 」(ガーディアンガーデン/東京)
2016「Gallery Voltaire」(スパイラル/東京)
2016「あざみ野コンテンポラリーvol.7 悪い予感のかけらもないさ展 」(横浜市民ギャラリーあざみ野/神奈川)
2017「figure / out」(ガーディアンガーデン/東京)
2017「一枚の絵の力 Power of a painting 」(BLOCK HOUSE/東京)
2017「3331 AIR FAIR 2017」(アーツ千代田3331/東京)
2017「SICF18 PLAY」(スパイラル/東京)

 


 SICF18 PLAY 栗栖良依賞

 

tantan

 

<作品について>
触らぬ神にたたりなし。コンセプト
「私は私を賢いと考えています。私の言う賢いとは、物事を明確に理解し本能とは別のところで考えられる事です。賢い私たちは、いつでも自分の頭で考え選択します。その選択がどんなに本能に逆らったとしても、自分の頭で出したソレは、自分以外に責任を持つことはないのです。そのため、他人に預けた責任のように足を引かれる事もありません。賢い私たちは、自分の責任だけを抱えて好きな道に進めるのです。
そんな私たちは、賢いが故に道の途中で多くの誘惑に引っかかります。その誘惑が魅力的であればあるほどより深いところまで引っかかってしまうでしょう。なぜなら、その誘惑が魅力的だと頭で理解できてしまうからです。賢くないものは、魅力を理解することができないでしょう。分からなければ、始まることもないし終わることもありません。それは、触らなければ〇〇をもたらすことはないという事です。賢くなければ〇〇をもたらすことはないのでしょう。しかし、賢いものは誘惑されているという事、魅力的であるという事、そして、それに触ると何かが始まってしまうという事を分かっています。分かっているから触れてしまうのです。
触れてしまったら最後、賢い私たちは何度も何度も繰り返してしまうのでしょう。」

 

<受賞コメント>
SICF18 PLAYに参加させていただいて、多くのアート作品、アーティストに出会えてたくさんの経験をさせていただきました。
この経験を生かし、もっと自分と向き合っていきたいと思います。

 

<審査員コメント>
■栗栖良依(SLOW LABEL ディレクター)
世界観にオリジナリティを感じました。その世界観をより一層強めていってほしいなと思っています。ダンスとしての構成がよくまとまっていて、踊るべきところでしっかり踊ってみせてくれたところも良かったです。今後のカンパニーとしての発展を楽しみにしています。

 

【略歴】
2014年 日本女子体育大学舞踊学専攻の同期と亀頭可奈恵主宰のダンスカンパニー「tantan」を結成。
2017年 日本女子体育大学を卒業。
卒業後も「tantan」としてダンス活動をしている。

【主な受賞歴】
2015年 セッションハウス・アワードダンス花 「生きるために食う。」 奨励賞
2016年 ダンスがみたい!新人シリーズ14 「傷としお。」 オーディエンス賞
2017年 NEXT REAM21 「触らぬ神にたたりなし。」 最優秀賞
2017年 SICF18 PLAY 「触らぬ神にたたりなし。」 栗栖良依賞

【主な活動】
2014年 シアター21フェスStep up 「生きるために食う。」発表
2015年 Dzoneフィスティバル2015 単独公演「指切った。」発表
2015年 セッションハウス・アワードダンス花 「生きるために食う。」発表
2016年 ダンスがみたい!14新人シリーズ 「傷としお。」発表
2016年 Baobabディレクション企画DANCE×Scrum!!! 「傷としお。」発表
2016年 ダンスがみたい!18エリックサティを踊る 「傷としお。」発表
2016年 ダンス花アドバンス 1Stage 「安全+第一」発表
2017年 ダンス花アドバンス 2Stage 「安全+第一」発表
2017年 NEXT REAM21 「触らぬ神にたたりなし。」発表
2017年 SICF18 PLAY 「触らぬ神にたたりなし。」発表

 


 SICF18 PLAY 中村茜賞

 

西尾佳織ソロ企画

 

<作品について>
「近隣の全ての店に廃業を勧める。全て閉店したらクロージングパーティーを三日間開く」という岸井大輔さんのたった二文の戯曲を上演することを決めてから、ハテ、この戯曲はどうしたら上演出来るんだ? と頭を抱えました。人様の生業にしていることに対して廃業を勧めるなんて、一体何様なんでしょう? しかも廃業させた/させられた関係性で、クロージングパーティーなんて開けるものでしょうか? 考えれば考えるほど実行不可能に思われてどん詰まった末に、これは反語表現なんじゃないかとひらめきました。
演劇界という「近隣」のことを考えて、暗い気持ちになることがあります。「それ、何の役に立つの? もういい年なんだから辞めたら? 演劇の人ってみんなそんな感じなの? じゃあ業界全員辞めた方がいいんじゃない?」なんて、幸いまだ言われたことはありませんが、言われてもおかしくないかもしれんナと正直、思っちゃいます。
よく「東京にはコミュニティがない」と言われるけど、東京にはコミュニティしかないと思う、と知人が言っていました。無数のタコツボのうちの一つにぬくぬく籠るより、ツボを越えて話せる言葉を持ちたいです。

 

<受賞コメント>
作品をつくって発表することが、社会の中で自己実現を果たす手段になってしまいそうな浅ましさを、ここしばらくの自分に感じていました。「誰に求められなくてもやってることだ」ということを忘れずいたいです。そうして出来た作品が誰かに響けば、もちろんとても嬉しいですが。今回は賞をいただき、ありがとうございました。

 

<審査員コメント>
■中村茜 (株式会社プリコグ代表、パフォーミングアーツプロデューサー)
SICF18PLAYの会場となったアトリウム空間で演劇に挑戦するのは容易ではなかった。声の反響や観客の集中力を持続させるのが難しいからだ。西尾さんの演出では、声の反響には苦戦していたが、たった2行の戯曲の反復によって観客に想起させるシチュエーションの展開や、観客と俳優の関係性を操作し、両者がいまここに存在することの挑発に成功していた。そのことにより、たった2行の戯曲のフィクション性と現実の世界を横断的に行き来できるようなパフォーマンスの可能性を示唆した。

 

【略歴】
1985年東京生まれ、幼少期をマレーシアで過ごす。2007年に鳥公園を設立し、以降全ての作品で作・演出を務める。
2008年、東京大学教養学部 表象文化論分科卒業。
2010年、東京藝術大学大学院音楽研究科 芸術環境創造科修了。

【主な受賞歴】
2012年 大阪市立芸術創造館主催 芸創CONNECT vol.5 優秀賞
2012年 広島市現代美術館主催 「ゲンビどこでも企画」 粟田大輔賞
2012年 3331Arts Chiyoda主催 「おどりのば」佐々木敦・長島確スカラシップ
2014年 第58回岸田國士戯曲賞最終候補作品ノミネート
2016年 若手演出家コンクール2015最優秀賞

【主な活動】
2011年 鳥公園#6「おねしょ沼の終わらない温かさについて」(フェスティバル/トーキョー11公募プログラム)
2013年 鳥公園「蒸発」(芸劇eyes番外編「God save the Queen」)
2013年 鳥公園#8「カンロ」(MITAKA”Next”selection 14th)
2014年 朗読劇「8 -エイト-」(東京国際レズビアン&ゲイ映画祭)
2014年 「透明な隣人 〜8-エイト-によせて〜」(フェステバル/トーキョー14主催プログラム)
2015年 「例えば朝9時には誰がルーム51の角を曲がってくるかを知っていたとする」(SPACふじのくに⇄せかい演劇祭2015主催プログラム)
2016年 鳥公園#12「↗ ヤジルシ」(瀬戸内国際芸術祭2016)
2016年、2017年 西尾佳織ソロ企画「2020」(TWS本郷「OPEN SITE 2016」、ミソゲキ2016、若手演出家コンクール2015最優秀賞受賞記念公演)
2017年 鳥公園#13「ヨブ呼んでるよ」