SICF19 グランプリアーティスト展
石川佳奈 『触りながら触られる』
会期:2019 年 1 月 7 日(月)- 13 日(日) 11:00-20:00 会期中無休
会場: ショウケース(スパイラル1F)
主催: 株式会社ワコールアートセンター
企画制作: スパイラル
協賛: 特定非営利活動法人青山デザイン・フォーラム
SICF19 Grand Prize Artist Exhibition
Kana Ishikawa “Touching and Being Touched”
Dates: January 7th – 13th , 2019
Venue: Showcase (Spiral1F)
Organized by Wacoal Art Center
Planned by Spiral
With the sponsorship of NPO ADF
自らの身体を社会に放り込み、現代を生きる私たちを風刺する
2018年5月に開催した SICF19(第19回 スパイラル・インディペンデント・クリエイターズ・フェスティバル)に於いて出展クリエイター150組の中からグランプリに選ばれたアーティスト・石川佳奈による個展 『触りながら触られる』 を 2019年1月7日(月)-13日(日) にショウケース(スパイラル1F)にて開催しました。
情報技術の発達した現代特有の人々の思考や無意識的な身体行動に焦点をあて、言葉やペインティング、映像、インスタレーションなど、さまざまなメディアや手法で、社会現象に対する、ある種の抵抗から作品を制作する、石川佳奈。SICF19 では、山手線全29駅の各駅の利用者に、「どう生きたら良いのか分からないんですが、どうしたら良いと思いますか?」 とインタビューを行ない、その回答をまとめた映像と、 Googleのロゴカラー4色のドットが配された白いブースをツイスターゲームのマットに見立て、スマートフォンで「どう生きたらいいのか 分からない」と検索した結果をもとに、 石川自身がツイスターゲームを行なう映像の2つを展示しました。あらゆる回答がインターネットで検索されてしまう世界に抵抗し、同じ駅に再び戻る山手線内での対面インタビューを通して、また、オンライン上で得た回答をもとに難しい体勢でゲームをし続けることによって、検索の外側にある思考を模索します。 石川は、全てをインターネットの検索に委ねる私たちの姿を戯画的に描き、観る者全てに批判の矛先が向けられていることを認識させる作品の強さが評価され、グランプリを受賞します。
本展は、「ワンダーシード2018」への入選、SICF19のグランプリ受賞など、近年の活躍が目覚ましい若手作家・石川佳奈による東京・青山での初個展となりました。
◼ 出展作品について
本展では、個人間のコミュニケーションにおけるパーソナルエリアをテーマに、映像を用いたインスタレーションの新作を発表しました。
あらゆる人が持つパーソナルエリアは、他人に近づかれると不快に感じる物理的空間や心理的空間をさします。石川はその境界を「膜」として捉え、個人と個人が関係を築く際、互いにその位置を移動させたり、強度を高めたりすることで、どこまでの介入を許すかという交渉を行なっているのではないかと仮定します。本映像作品では、実際にその膜が揺らいだ瞬間を体験した人々からその時に発せられた言葉をインタビューを通して収集し、石川本人と役者がその状況を再解釈しシンプルな動きで演じます。映像の中で、男女が近づいたり離れたりを繰り返しながら、展示空間内のインスタレーションとリンクする時、「人と親密になること」について改めて立ち止まり考える機会を私たちに与えてくれるでしょう。
Photo: TADA(YUKAI)